【IOUEEE】インタビュー

ハポンでのライブの様子
ハポンでのライブの様子

KDハポンによる取材、記念すべき第1弾は杉山明弘さんによる宅録インディーフォークユニット "IOUEEE"です!

杉山さんは犬録音の名義でDOIMOIログメンなど、多数のバンド/ユニットで楽曲を制作。ギターやベースを始めとしてピアノや自作の楽器など、多様な音を使いこなすマルチプレーヤーです。

そんな彼は日々どのような生活を送り、どのように楽曲を制作しているのでしょうか。気になることを色々と聞いてみました。

早速ですが、"IOUEEE"って、どういう意味ですか。

IOUEEE自体にあんまり意味はないんですよね。本秀康さんの『アーノルド』っていう漫画に「トリ号」っていうアヒル型の乗り物が出てくるんですけど、主人公がそのくちばしを掴んで乗り物を降りるんですよね。それでトリ号が「イオウエエエ」って言って、今のは「気をつけて」っていう意味だよっていう一コマがあって。そこからつけました。

 

(心なしか杉山さんがアヒルっぽく見えてくる)

 

杉山さんはIOUEEEの他にもDOIMOIやログメンなど複数のユニットで活躍されていますよね。どのように切り替えているのでしょうか。

曲を作る前には、いつもテーマが先にあります。各バンド/ユニットにも「このバンドではこういうことがしたい」っていうテーマがあります。だから例えば、「DOIMOIの次のライブに向けて曲作ろう」って具合に曲作りがスタートします。

 

曲を作るときには、どのようなことを考えていますか。

僕の場合は、「フィーリングを表現したい」みたいな欲求はあんまりないんですよね。そうではなくて、色々な曲を聞く中で、「こういうの自分でもやってみたい」と思ったら曲を作ります。模倣にならないようには気をつけていますけどね。聞く音楽はニッチなものが多いので、「あまり評価されたないけど自分は好き!」みたいなのを表現したいかもしれません。なおかつその良さが、それをいいと思ってない人にも伝わればいいなと思っています。

 

曲作りは、いつ頃から始めましたか。

中学生くらいの頃から、頭の中でイメージすることはありました。ただ本格的に作り出したのは大学に入ってからです。曲のイメージは、メロディだけとかではなくて、フルアンサンブル状態で出てきます。CDを頭の中で再生しているような感覚、かな。逆に、骨組みだけ作っておいて後から色々足していくのは苦手です。出てきたイメージに対してテンション上がったら更にその先を作っていきます。こうやってアンサンブル思考で曲作る人ってあまりいないので、いるとすごく共感します!

 

ということは、楽器も全部弾けるのでしょうか。

弾けると言っていいかはわかりませんが、一通りはやりました。何においても全部自分でやってしまいたいという思いがあって、うまく人に頼めないんですよね。人に任せて自分の想い描いているものと違うものが出てくるとイヤというか...。自分の理想があったら、それを満足するまで追求したいタイプです。だから何か買おうと思ってコンビニ行っても、「コレだ!」と思うものがなければ別のコンビニを回ったりしますね(笑)。演奏においても、出来る限り自分の想い描く理想を達成しようとします。IOUEEEは1人ですから、色々と工夫が必要ですね。演奏に最適な楽器がなければ自分で作ることもあります。

 

楽器を作っちゃうんですか?!

例えば、ドラムのキックになるものを作りました。木の箱の中にキッチンタイマーに入ってるブザーを取り付けたものです。あのブザーって、音を拾って、かつマイクにもなるんですよね。ピックアップみたいな感じ。

 

(実物を見せてもらう)

 

ニスまで塗ってあって、細部までこだわりを感じます...!

最初はウクレレを使って同じようなことができないか試したんですけど、なかなか演奏スタイルにピッタリの物はできないんですよね。そしたらもう自分で作るしかないか、と。改良を重ねて、今のは4代目くらいです。ゴールだと思えるところまでたどり着いて満足したいというのは、楽曲制作にしても同じです。「まだやってないことがある、まだやりようがある」と思うから作り続けるのだと思います。

 

『断層』など最近の曲には様々な音が使われていますが、これは何の音でしょうか。

『断層』は、初めてPC内の音源を使ってみた曲です。探しながら結構色々あるんだなあと思って、アレンジしていきました。今では、こういう音使いたいっていうときに素材を探して使っています。

 

まだまだ新しいことに挑戦していらっしゃるんですね。

 

ところで歌詞は、どのように書いていますか。

歌詞はいつも難航するんですよね。ストレートな歌詞は書きたくないけど、あまりナンセンスでもダメだし...。「こうはなるまい」の精神でブラッシュアップされていきます。直球で伝わる表現よりも、その表現方法とか全体像に関心を持つタイプなんですよね。映画を見ていても、泣かせにきてる場面で素直に泣くというよりは、そこへの持っていき方とかフリに感心してしまいます。

 

「歌詞っぽい歌詞は書きたくない」という気持ちは分かる気がします。

 

杉山さんは、つける曲名も独特ですよね。大抵は英語名がついていて、例えば『遠くに飛ばされる』は "Flown(Far)" だったりしますが、どのように付けているのですか。

ほとんど洋楽を聴いて育ってきたので、英語名をつけたいっていう気持ちがありますね。直訳でないものは、他の曲を文字っていたりします。なかなか伝わることはありませんが、自分みたいな人がいたら大喜びするだろうなあと思います。

 

分かる人には分かる、ということですか...。

 

杉山さんの音楽のルーツは、どこにありますか。

僕が「この人みたいになりたい」と思えるのはルー・バーロウですね。彼の、直球じゃない感じというか、聴くからに内向的な感じがする部分に肌で共感するものがあります。曲を作ってると全然違うものが出来上がったりするので影響をダイレクトには感じ取れないかもしれませんが。

 

影響を受けるような音楽には、どこで出会いますか。

昔は中古レコード屋をまわっていましたね。店員さんに覚えられるくらい(笑)。レコードの値札のところに推薦文句が書かれてることがあるじゃないですか。それで「〇〇直系」とか書いてあると、その〇〇を聴いてみたりして、どんどん派生していきました。小さい頃はシティハンターが流行ったのもあってTM NETWORKが好きで、中・高のときは海外のヘヴィメタルを聴いてました。その後グランジブームが来たのでよく耳にしてましたね。グランジはヘヴィメタルの敵みたいな感じだったので当時はあんまり聴いていませんでしたが、後に再発掘したりして。最近はなかなかレコード屋に行きませんが、聴いている音楽から派生していくっていうのは同じですね。

 

 

あとがき

IOUEEEさんは、11/27(水)にハポンで開催された「音の壺 vol.2」にも出演してくださいました。自作楽器もお目にかかることができましたし、今回のインタビューでは触れませんでしたが、噂の「カタコトMC」も聞くことができました。絶対に生でパフォーマンスを見るべきアーティストです!

 

ちなみに普段は印刷会社でHP制作をされているとか。IOUEEEやDOIMOIのHPもご自身で作成されているようです。90年代後半からの個人サイトブームを経験している世代は、彼に共感するでしょうか...?

 

次は1/18(土)Cafe&Bar drawingでのライブが決まっているようです、IOUEEEとしてのライブは貴重なので、ぜひお見逃しなく!



インタビュー, 文: ヒカル